焦る美利の頭を撫で続ける智樹。

「わかってる、大丈夫」

「多分あいつらだな」

 そう言う琢己の言葉に頷く智樹。

「最近俺たちの教室に来てやけに話しかけてくる女子が居るんだけどさ、面倒くさくて適当にあしらってるんだ」

 智樹は持っていた紙切れをごみ箱の中に戻した。

「昨日の放課後にこれを机に入れておいたんだけど、それを見られていたのかもしれない」

 そう言ってまた苛立ちを顔に表す。


 自分に怒っているわけじゃなかった。
 それが分かった美利はほっとして胸に手を当てる。

「流石にこれは腹が立つ」


 智樹の怒りを抑えるためにもとりあえず裏庭にでも行ってこいと和巳が提案する。

 和巳と琢己は部活に行くと言って、竜は帰ると言って玄関へと移動していった。