『クシャ…』

 自席に座り教科書を机の中にしまおうと思った時、美利の机の中からそんな音がした。
 紙切れが潰れるような音だ。

 昨日は机の中をからにして帰宅した。
 中に何かが入っているわけがない。

 入れかけた教科書を一度机の上に置き、中を覗き込む。

 そこには複数の小さな紙切れが乱雑に入れられていた。

 一枚取ってみる。

 それは小さな紙ではなく何かを破いた紙切れだった。

 印刷された横線。そして文字だったもの。
 誰かの手紙だろうか。

 見覚えのある文字だと思いながらもかなり小さく破られている。

 ここまで細かい状態では復元することも読むことも出来ない。

 仕方がないのでその紙を集めてごみ箱に捨てることにした。