階段で押されそうになったり、上靴の中に画びょうが入れられていたりと幼稚なものだったが、ある程度の名門高校と言われていたこの学校でそんなことが起こるなんて微塵も思っていなかったのだ。

 所詮は女子高校生だな、と感じてしまったのも無理はない。

 学校では普段通り過ごしていたはずが恐らく複数の女子生徒には気付かれている。

 智樹には彼女がいる。
 それが分かったうえでもまだ、智樹に言い寄る女生徒は少なくなかった。

 声はかけられるし、美利は嫌がらせを受けているしで智樹の堪忍袋も端から破れそうになっている。

 智樹は、美利に何かあった時には席が隣同士だと言うこともあり短い休み時間や授業中に慰めたりしていたが、竜たちが不思議がってき始めたのできちんと説明することになった。


 美利はぎりぎりまで不安だった。

 去年のように五人の関係が崩れてしまうのではないかととても不安だった。

 三人に嫌われてしまうのではないかととても不安だった。



 ある日の放課後、部活の休みが重なった五人は裏庭でのんびりすることになった。

「雪も解けないし、まだかなり寒いねー」

 美利は地面にカバンを置き、その上に座った。