パウンドケーキを配り終わったのか智樹も合流していつものメンバーで話始める。
「おいくー、口元につけてるぞ」
そう言って笑いながら手を伸ばし、美利の口元を軽くほろう。
もちろん美利の心臓は跳ねた。
美利は自分の感情に気が付いてからやけに智樹の行動が気になってしょうがなかった。
今までも誰かを好きになったことはあるが、こんなにも四六時中考え込む物だっただろうか。
「授業始めるぞ、席に着け」
地理の先生がきたことに気付いていなかった五人は『鐘鳴った?』なんて言いながら急いで席に戻っていった。
つい最近席替えをした。
美利の席は窓際の一番後ろ。
そして運のいいことに智樹は右隣りだった。
「くー」
先生が黒板に向かい何かを書き込んでいる隙に智樹から声が掛かった。