「お願いだよ、僕は弱いんだ。もう辛い思いはしたくない」

「くぅ、俺は本当に許してもらっているのか?」

 細い竜の声が聞こえる。

「許してるよ。そもそも最初から怒ってない」

 美利の言葉に竜は自分の膝に顔を伏せて小さく肩を揺らした。

「ほらほら立って」

 美利は立ち上がって竜の左腕を引き、竜にも立つように促す。

 泣かないように耐えている竜の顔を見て美利は抱きついた。

「え」

 声を出したのは琢己だった。

「竜、大好きだよ」

 そう言って美利は竜の頬に軽くキスをした。

「いやそれは駄目だろう」

 竜が言う。

「それは駄目だろう」

 和巳も言う。