しかし四人は分かっていた。
特に美利は刺さる程にわかっていた。
竜はとても気を使って今まで通りを装っていると。
美利はもう許している。
それを智樹も和巳も琢己も知っていたが、竜は自分を許せずにいたのだ。
「竜、僕はこの間のことをもう怒ってないって分かってくれているよね」
美利はベンチに座り直す。
「竜も座ってよ」
そう言って隣に座るように促した。
ゆっくりと座った竜は少し美利との距離を開ける。
「…これはね」
美利は間を開けてゆっくりと話し始めた。
「これは僕のわがままだと思うんだけど」
四人を見回す。
「僕ね、竜が好きなんだ」
竜がピクリと動いた。
「和巳も琢己も智樹も好きなんだよ」
三人は微笑んでいる。
「四人とも好きなんだ。五人で馬鹿みたいに騒いでるのが好きなんだよ」
『みんな好きなんだ…』と呟く。