「くー、まさか本気で分からないの?」
智樹ですら半信半疑という顔で美利の顔を覗き込んでいる。
「分からないも何も、僕に原因があるっていうのがそもそもおかしな話じゃないか」
若干のイライラを感じながら反発してみる。
「俺たちには全然原因なんか…あー、まあ若干冗談が過ぎるところはあるかもしれないけど。くーの耳には噂の原因までは入ってないのか、凄いな」
琢己はそう言いながら立ち上がり頭を掻く。
「琢己、くーだからこそ聞いていても分かってないのかもしれないぞ」
横から和巳が口を挟んだ。
「裏庭に居るとき、教室に居るとき、自分がどんな格好をしているか分かるか?」
そんな智樹からの質問の答えを探るために思考を巡らせる。
「寝転がったり、あぐらかいたり足組んだり。別に変な格好はしてないと思うけど」
少しだけむず痒い沈黙が流れた。
「くぅ、それだけで充分なんだって。マジで分かってないんだな。
まあ、それがくぅの魅力なんだけどな」
そう言って竜は手の平で軽く美利のおでこをはじいた。
『痛いなぁ』と言いながらなおも原因を考えているが一向に糸口すら見つからない。
「じゃあ五人で仲良く裏庭に行こうぜ」
智樹の一言を合図にして帰り支度を始めた。