彼女はと言えば友達を作らなければと思いつつも、教室から出ることなくのんびりと外の景色を眺めていた。
大きな窓から見える吸い込まれそうな青空には、小さな白い雲が出始めている。
雲の流れるさまを見ながら彼女の思考はしばし休止していた。
ふと訪れるあまりの静寂に我に返った美利は教室をゆっくり見まわして、自分の視界に誰も映らないことに気が付いた。
美利に声をかける人は誰も居なかった。
しかしそんなことはさほど気にしていないらしく、一人帰り支度をしてやたらと重たいカバンを肩にかける。
―――ガタン……ガタッ。
一人しかいない教室で自分の椅子を片付ける音も切ないほどに大きく響いた。
―――タタ、タ、タ、タ。
のんびりと歩くその足跡ですら響いてしまうほどの静寂。
開け放たれていた教室のドアをすり抜けようとした時。
『ゴッ!』
鈍い音と共に頭に鈍痛が走った。
「痛ってぇ……」
そして誰かの声。