「今日は天気がいい」
そう言って美利は購入した昼食を外で食べようと智樹に提案する。
智樹もその案に反対する理由は無かった。
しかし雲一つない晴天だ。同じことを考える生徒は多い。
地面からどんどん湧き出ているのではないかと思うほどの生徒で中庭が埋め尽くされていた。
「ねぇ」
袋に入った焼きそばを見ながら美利が声を出した。
「ずっと気になってる場所があるんだけどさ、行ってみない?」
『どこ?』と聞き返す智樹に体育館の方、と美利は返事を待たずに歩を進める。
体育館の東側に行くと建物とフェンスの間に指をさす。
「あの隙間、結構細いけどどこかに通じてそうじゃない?」
背の高いフェンスが何とか外側にそびえたつ大きな木を押さえながらその通路を守っている。