確実に何かあったと察したがなんとなく聞けなかった。
とりあえずは今は機嫌がいい、そして何か話したいことがあるのだろうと言うことを考察するくらいで特に気に留めないことにする。
体育館に入ってからは形式通りの開会式が行われ、しんみりとした課題曲からの合唱コンクールが始まる。
今日歌うのは一年生と二年生。その順番は事前に学級委員がくじを引いて決められたらしい。
一番最初を引いた一年D組は最初に課題曲、続けて自由曲を歌いその後は残りのクラスがすべて終わるのを待つだけ。
緊張したのは歌う直前だけであとはただひたすら暇な時間を持て余すことになる。
聞きほれるほどの歌声を披露するクラスは少なく、中には鳥のさえずりのように声の小さなクラスもあった。
何度も同じ曲を聞く。
気が付けば寝ていた。
昼休みの始まりと同時に目を覚ました美利は案の定智樹に笑われ、『じゃあとりあえず』と昼ご飯を食べに体育館の外へ移動することになった。