校門を出てすぐにあるバス停には智樹が立っていた。
『よう』と片手を上げて挨拶してくる。
「相変わらず着替えるのが早いな」
苦笑いしながら返事を返す美利。
「俺には目的があるからな」
そう、優越感を感じる子供のように笑う。
「目的?」
素朴な疑問に、
「それは、聞かない約束でしょ?」
と、さも嬉しそうに言う智樹。とりあえずこれ以上詮索するのをやめた。
他愛もない会話の途中、
「智成先輩だ」
と、智樹が言う。
反射的に振り返った美利の視界には確かに男子バスケ部の先輩である智成がこちらに向かってきているのが見えた。