「相変わらず冷たい…」
あからさまに寂しげな雰囲気を作りながら美利にアプローチする竜だが、
「竜は相変わらずしつこいな」
と一蹴されるだけ。
いつもしている会話なのに、むしろいつもしている会話だからか毎度毎度心底切ない顔で周りの誰かに助けを求める竜。
美利も本気で嫌がっているわけではない。
竜だって本気で美利に恋をしているわけではない。
ちょっとしたきっかけでこの会話が定番になってしまったが皆それを楽しんでいた。
「諦めろ竜。くーは俺が頂くことになってるからな」
そんなことを言ってくるのは琢己だ。
「なってない! 適当なことを言うな琢己」
『どいつもこいつも、本当だとしたら最悪な好みだな…』
そんなことを心で呟きながらも美利は部活へ行く準備の手を休めることをしない。