「あ、それは駄目だ!」
美利が気付いた時にはすでに琢己はその中身を読んでしまっていた。
「うそ、待って駄目、何書いてあるか自分でも覚えてないけど駄目!」
和巳と竜も覗き込んでいる。
「これはくーが智樹に会えなくて寂しがっていた時に書いた手紙だな」
「言わなくていいから!」
四人の笑い声が裏庭に響いた。
「さて」
美利が手紙を取り返したところで琢己が声を出した。
「職員室に寄って挨拶したらまずは昼飯を食いに行こう」
裏庭の出口に向かって歩き出したところで一人の男子生徒とすれ違う。
こんにちはと挨拶をしてくれた生徒はまっすぐに大きな木に向かって歩いて行った。
美利と智樹は視線を合わせて微笑む。
五人を久しぶりに迎えた高校は暖かな日差しに包まれていた―――。