「手を握って目を見つめて話すっていうのは、初対面の人にしないほうがいいぞ」

 きょとんとする美利。

「くーのことを好きになるのは俺たち四人で十分だ。増やすな」

「僕初対面の人の手なんて握ってないけど」

 智樹は左手で美利の手を握り、右手でその状態を指さした。


 和巳は言っていた。記憶をなくした智樹と自分たちは初対面だと。


「僕、えっと初対面…」

 これ以上ないほどに顔を赤くした智樹はゆっくりと寝転がり布団をかぶろうとする。

 その状態を見て美利の顔も真っ赤に染まる。

「くーの鈍感!」

 布団に潜った智樹の声が病室に響いた。