「悪かった。でもくーがもう少し早く来ていたら俺も早く思い出せてたかもしれないんだからな。
 見舞いに来ないくーも悪いぞ」

 そう言って髪の毛をわしわしと撫でまわす。

「それは…ごめん」
「うそうそ、じょーだん」

 智樹は体から美利を離すと涙でぬれた頬を指でぬぐう。

 改めてしっかりとした目つきで伝える。

「思い出しました。忘れていてごめんなさい」

 それを聞いて美利は久しぶりに笑った。


「しかしだな」

 智樹は続ける。