「思い出してたなら説明させないでよ! こんな恥ずかし…」

 美利の目から涙が一滴零れ落ちた。

「待て待て、しっかり解ったのは『鈍感だな』の辺りであって…」
「ほとんど変わらないじゃないか、バカ!」

 美利は椅子から立ち上がって智樹に抱き着いた。

「おっと。
 痛い痛い、ちょっと待て」

「待たないよ!」

 智樹の肩に顔をうずめて力いっぱい抱きしめた。

「バカ! 怖かったんだから!」

 入院着が湿る程に涙を流して肩を揺らす。
 智樹もしっかりと抱きしめ返した。