「あ、くー」

 その呼び名が随分と懐かしい。

「その呼び方、何か思い出したの?」

 ベッドから少し離れた場所で美利は智樹に話しかける。

「いや、和巳とかに呼び方を聞いたんだけど……変かな?」

 頭をかくしぐさも愛おしい。

「変じゃないよ、いつもと一緒」

 今日は和巳も琢己も竜も居ない。
 一人で来ていることで心臓がドキドキしている。

 プリンを食べ終えた智樹はカップをごみ箱に放り投げた。

「そう言えば、体の方は大丈夫なの? 骨折したとかも聞いてたけど…」

 美利がそう聞くと智樹はゆっくりと両肘を伸ばした。