頭を覗かせてみると体育館の外側をランニングする先輩たちの姿があった。

 すぐ右側に体育館のステージがある。

 重たいドアを開けた向かい側には美利たちと同じ一年生と思われる数人が館内の様子を見学しているようだ。

 美利と智樹も先輩方の邪魔にならないよう出来るだけ端を通って見学者の中に混ざり込む。

 バレー部員は柔軟体操をしているようだ。
 ランニングをしている先輩たちがバスケ部で間違いなさそう。

 美利たちが体育館に入ってから十周近く走っていたバスケ部員がランニングを終えると、バスケ部顧問と思われる先生から腹筋や腕立て伏せなどのトレーニングを追加で出されている。


「これ毎回なのかなー…」

 横で見学していた女子生徒が呟く声を聞いた。



「あーーーーっ!!!」



 見学をしていた二十人ほどの一年生のうち一人が急に大きな声を出す。

 バスケ部員もバレー部員も一瞬身体をびくつかせて声がしたほうへ視線を泳がせる。

 バスケ部顧問であろう先生が見学者を舐めるように見回す。