「あれ、本当の事なのかなぁ?」
「本当の事だ」
「ねぇ、嘘だよね?」
「…本当だ」
「ねえ、嘘って言ってよ」

 手紙を持った腕を伸ばして懇願する美利を見て竜は一筋だけ涙を流した。

「事実なんだ、事実なんだよ……。病院に行ってきたよ。ずっと眠ってたよ」

「やめて!」

 美利はとっさに叫んだ。聞きたくない。

「……解ってるよ…、僕だって解ってるんだ。
 だけどどうして目を開けないんだろう?」

 パラパラと手紙を落とした美利は立ち上がり竜に向かって走る。

 拳で竜を叩く。

「どうして目を開けないんだよ! 意識不明ってなんだよ!
 ああああ―――――!!!」

 竜はしっかりと美利を抱きしめた。

 美利は竜の胸に顔をうずめて、竜はその頭をしっかりと支えている。


 美利が泣きつかれて落ち着くまで竜はずっと美利を抱きしめていた。