そんなことを思いながら、着々と目的地に近づいてきて、少しだけ気の緩んだ、そのとき。




「あっ、」


自分でも情けないくらい、か細い声しか出ない。




やられた。5千円入った財布や軽くできるメイク道具などが入った肩掛けカバンをスられてしまった。


もう、この際金額とか、貴重品とかはどうでもいいのだけれど。



スリにぶつかられて、慣れていない高いヒールを履いていた私は、見事に転倒。

…した先には、店じまいをしているらしい花屋さんの店員さんにもぶつかり、尻餅をついてしまった。






「っ、すみません!!」