ごめんなさい。勇利さん。私はあなたの事を・・・。

それからも二人はあたかも恋人同士のように約束をし、そばにいて触れたくなったらまたキスをした。最初の数日は確かに嬉しくて、でも次第に毎日別れた後に罪悪感で苦しく、苦しみは日を追う事に増幅し、こんな事をして何をやっているんだろうという気持ちでほとんど支配された。

何も言わない。明人も他人なんて関係なかったはずなのに、水樹の考えている事がわからなくて、前にも後ろにも進むのが嫌だった。

もしかしたら何か理由があって、恋人をわざと作らないようにしているのか、今までだって彼氏がいてもおかしくないしと思い、彼氏?と何かが引っ掛かったけれどわからなかった。

わからないまま明人と水樹は、試合の予選があり夏休みになってから初めて4日程会えなくなった。水樹が試合で久しぶりに勇利に会うと、心がチクチクチクチク痛くて、勇利の顔をまともに見る事が出来なかった。

水樹には過去に交際した人がいる。その時もなんとなく流されて、自分の気持ちを都合良く綺麗事にして、自分の意思で行動しなかった為にお互いに傷付いて終わったのだった。

同じ失敗は繰り返さない。自分で決めて進まないと、また何かを壊してしまう。傷付くのは自分だけがいい。と水樹は思い、勇利の笑顔を思い出してから唇を噛んだ。

勇利さんごめんなさい。あなたが私を好きだと感じた事はないのだけれど、それでもずっと好きでいたかった。

勇利さんごめんなさい。

勇利さんごめんなさい。

私は長谷川さんの事が・・・好きです・・・。

そして予選を終え地元に戻り、ただ明人のバレーボール部は全国大会に進出したので練習でまだしばらく学校に通う日々が続いた。

そんな中、水樹は明人に‘明日会えませんか。’と連絡をしていた。明人は会うつもりは当然有ったけれど、しばらくぶりで自分から誘うのが照れくさかった所に水樹の方から正式に誘われ嬉しくなり、そしてちょうど良かったと思った。

それで二人はいつもの小さな神社で会う約束をし、明人は午前の練習後神社まで自転車を飛ばし、会いたい、会いたい、会いたい、と気持ちと自転車を加速させた。

「遅くなってごめんっ。」

「全然ですっ。すみませんわざわざ呼び出して・・・。すぐ終わりますから。」

自転車を停め、二人は神社の片隅で立ったまま主に大会の話などをし始めた。

「予選突破おめでとうございます。凄いですね。私達は負けちゃったから。」

「うん。残念だったね、勇利も。俺達はすぐに全国大会へ行くから、まだしばらくは忙しいよ。」

「どこでするんですか?」

「熊本・・・。」

「そっか。遠いなあ・・・。」

それを聞いて明人は少し黙った後にまた話し出した。

「立花さん。あのさ、これ・・・。」

そう言うと明人は地方大会で買ってきた猫のキーホルダーを水樹に渡した。何を喜ぶかわからなかったし、時間もないしで買うのはそれなりに大変だった。