もしかして、クリストファーも自分と同じ魔法をかけられたのか?
 そんな疑惑を持つようになったのは、何度かクリストファーと喋るようになってからだ。
 クリストファーは髪の毛が長いときは、家に引きこもり。
 髪の毛が短いときは、外に出て堂々と散歩したり乗馬を楽しんでいた。

 祖父は、クリストファーを見て、一度だけ「気の毒な子じゃ」と言った。
 驚いたクリスは祖父に向かって「どうして?」と質問した。
「これは、儂が言ったということを秘密に出来るか?」
 鋭い目つきで祖父が言うので、クリスは「うん」と頷く。

「クリストファーは、セレ坊と全く同じ状況だというのに、あの子は独りじゃ」
「一人って、クリストファーは家族で暮らしてるんでしょ?」
「いいや。最初の一週間だけだったようじゃ。あの子の母親は妹を連れて帰ってしまった」
「クリストファーは一人暮らしだから、気の毒なの?」
「……そうじゃない」
 祖父は、クリスの頭を撫でる。
 何か事情があるのだなとクリスは思った。