(よど)んだ生活を一瞬で変えてくれたのはクリスの祖父だった。
 両親はクリスに誰も会わせなかったし、身体の変化を誰にも言わなかった。
 だが、
 クリスが雷に打たれたと知った祖父が駆け付けてくれた。
 流石に両親はクリスの身体の変化を祖父に包み隠さず話した。
「なるほど」
 と祖父は驚くことなく、話を聞き終えた。
 そして、
「では、おまえに家督を譲ろう」
 と父に向かって言った。
「私の孫は化け物なんかじゃない。男として生きることを望むのならば、いずれ我が領地を譲ろう」