どうして、こんなに周りの人間のことを好きになれないのだろう。
 寝る支度を終えて、クリスはぐずぐずと泣き出した。
 何が不満なの?
 と質問されても、どう答えていいのかわからない。
 だけど、みんな大嫌いだと思った。

 ぐずぐず泣きながら、窓を開けると雨が降っていた。
 まるで自分の心を映し出しているようだった。
 誕生日だというのに、星空を見ることが出来ない。
「男の子になりたい」
 小さな声で呟く。
「神様、男の子になりたいよ」

 両手を合わせて祈る。
 神様、お願いします。

 「神様、男の子になりたいです」

 その瞬間、
 目の前がピカッと光ったのまでは覚えている。
 それ以降のことは覚えていない。
 ただ、頭の中で男の人の声がした。

「その願い、叶えてやろう」