順番にシャワーを浴びて。
 その後、皆でお喋りをした後。
 寝室に向かったのだが、
 蘭の部屋の前で、アズマが立っているのに気づいた。
「アズマさん、何しているんですか?」
 渚が尋ねると、アズマは爽やかに微笑んで。
「護衛係なので」
 と言った。
 …まさかなと渚は思った。
「おやすみなさい」
 アズマに挨拶して、駆け足で寝室へ行く。

「アズマさん、きっと寝ないんだろうね」
 クリスが言ったので、渚は「やっぱそうなのか」と不安になった。
 授業で護衛係が何をするか習ったことがある。
 (あるじ)をずっと守らなければいけない仕事だ。
 主が寝る時間も、守り続けなきゃいけない。

「俺は、護衛係無理だなあ。寝ちまう」
 寝る前にシュロが言った。
「でもさあ。この学校にいる限り。襲撃されることはないと思うんだけどなあ」
 いつだったか、委員長が教えてくれた学校のセキュリティーについてだ。
 渚が少年騎士団時代は、常に見張られていて地獄だったという話をすると。
 委員長は、「ま、今も見張られているけどね」と苦笑した。

 目に見えないところで、騎士団が見張っていると教えられたときは、
 渚は恐怖で凍り付きそうになった。

「何か、訳ありっぽいね。ま、とにかく寝よう。あんまりうるさくすると・・・ね?」
 クリスが言うので、渚は「おやすみ」と言った。