空は穏やかに晴れている。
神殿は跡形もなく破壊された状態で。
花がどこまでも咲き乱れている。
さっきまでは神殿にいて、死にたくなるくらい辛い真実を突きつけられていたというのに…
「え、渚くん?」
「正解! これで、同い年と言っても納得でしょ」
自分よりも頭1個分は小さかった渚くんは、私の身長を平気で追い越して、私が見上げる状態になっている。
真っ黒な瞳を見て、渚くんだということはすぐにわかった。
別人のような…例えば渚くんにお兄さんがいるならばお兄さんと話しているような不思議な感覚。
「やったー」
渚くんが花畑を走り回る。
見た目が17歳になっても、やっていることは今までとは変わりない。
近くには、サクラが号泣していて、それをクリスさんが慰めている。
2人の姿は…変わりないようだ。
端っこでぼけーとしながら座り込むシュロさんの姿も何も変わりはない。
「あれ、お兄様は? ローズさんは?」
何度も辺りを見回しても2人の姿はなかった。
「ローズはさっきまで居たけど、どっか行った。アズマは、わからない」
蘭の説明に、「ああ…」と声が漏れた。
行ってしまったんだとすぐに理解した。
もう、いないんだ…。
ふわりと風が流れる。
ここはまるで天国のように穏やかな場所だ。
渚くんは呪いが解けたみたいだけど。
他の人たちは見た目が変わっていない。
結局、儀式って一体何だったんだろう。
目の前で、渚くんが喜びを爆発させ、
サクラはさっきから何をピーピー泣いているのか。
シュロさんは、せめて口を閉じてぼーとしてればいいのに…
辛かったはずなのに、シュロさんを見ていたら安心して笑えてきた。
「…なあ、カレン」
急に蘭に名前を呼ばれて「ぎゃー」と悲鳴をあげる。
一体、どこで頬にペンキをつけてきたのか…
頬の汚れを取ってやりたいけど…
「触っても、いいか?」
「は?」
碧い目が私を捕らえる。
そんな切ない目でこっちを見ないでくれ。
ゆっくりと、蘭がこっちに近づいてくる。
「いや・・・それは流石に」
後ろに下がるが、蘭は私の顔にゆっくりと触れた。
「やっと、触れたな」
優しい声だった。
政略結婚だったけど、改めて蘭を見ると。
蘭はあまりにもかっこよくて素敵で。
いつでも、私を助けてくれたんだった…
至近距離で見る蘭に思わず見とれていると。
「とりあえず、目を閉じろ」
「何で?」
いきなり、命令口調になったので。やっぱりいつもの蘭だと思う間もなく。
蘭の唇が自分の唇に触れた。
「うわあー、あの夫婦。人前でチューしてるし」
渚くんが叫んだ。
サクラもクリスさんもシュロさんもじっとこっちを見ている。
「ざまあみろっ!」
蘭が大声で叫んだ。
ファーストキスが蘭とは…と思うとみるみると顔に熱を帯びていく。
どうしようもないくらい恥ずかして。
蘭の顔を見ることが出来ない。
蘭は私の手を取ると、ぎゅっと握りしめた。
蘭の体温が手から伝わってくる。
この冒険で、呪いは解けたようだ。
きっと、この冒険が終わって日常生活に戻ったら、またそれはそれで大変なことが起きるのかもしれない。
乗り越えてきた経験がきっと私を強くさせてくれた。
そう思った。
神殿は跡形もなく破壊された状態で。
花がどこまでも咲き乱れている。
さっきまでは神殿にいて、死にたくなるくらい辛い真実を突きつけられていたというのに…
「え、渚くん?」
「正解! これで、同い年と言っても納得でしょ」
自分よりも頭1個分は小さかった渚くんは、私の身長を平気で追い越して、私が見上げる状態になっている。
真っ黒な瞳を見て、渚くんだということはすぐにわかった。
別人のような…例えば渚くんにお兄さんがいるならばお兄さんと話しているような不思議な感覚。
「やったー」
渚くんが花畑を走り回る。
見た目が17歳になっても、やっていることは今までとは変わりない。
近くには、サクラが号泣していて、それをクリスさんが慰めている。
2人の姿は…変わりないようだ。
端っこでぼけーとしながら座り込むシュロさんの姿も何も変わりはない。
「あれ、お兄様は? ローズさんは?」
何度も辺りを見回しても2人の姿はなかった。
「ローズはさっきまで居たけど、どっか行った。アズマは、わからない」
蘭の説明に、「ああ…」と声が漏れた。
行ってしまったんだとすぐに理解した。
もう、いないんだ…。
ふわりと風が流れる。
ここはまるで天国のように穏やかな場所だ。
渚くんは呪いが解けたみたいだけど。
他の人たちは見た目が変わっていない。
結局、儀式って一体何だったんだろう。
目の前で、渚くんが喜びを爆発させ、
サクラはさっきから何をピーピー泣いているのか。
シュロさんは、せめて口を閉じてぼーとしてればいいのに…
辛かったはずなのに、シュロさんを見ていたら安心して笑えてきた。
「…なあ、カレン」
急に蘭に名前を呼ばれて「ぎゃー」と悲鳴をあげる。
一体、どこで頬にペンキをつけてきたのか…
頬の汚れを取ってやりたいけど…
「触っても、いいか?」
「は?」
碧い目が私を捕らえる。
そんな切ない目でこっちを見ないでくれ。
ゆっくりと、蘭がこっちに近づいてくる。
「いや・・・それは流石に」
後ろに下がるが、蘭は私の顔にゆっくりと触れた。
「やっと、触れたな」
優しい声だった。
政略結婚だったけど、改めて蘭を見ると。
蘭はあまりにもかっこよくて素敵で。
いつでも、私を助けてくれたんだった…
至近距離で見る蘭に思わず見とれていると。
「とりあえず、目を閉じろ」
「何で?」
いきなり、命令口調になったので。やっぱりいつもの蘭だと思う間もなく。
蘭の唇が自分の唇に触れた。
「うわあー、あの夫婦。人前でチューしてるし」
渚くんが叫んだ。
サクラもクリスさんもシュロさんもじっとこっちを見ている。
「ざまあみろっ!」
蘭が大声で叫んだ。
ファーストキスが蘭とは…と思うとみるみると顔に熱を帯びていく。
どうしようもないくらい恥ずかして。
蘭の顔を見ることが出来ない。
蘭は私の手を取ると、ぎゅっと握りしめた。
蘭の体温が手から伝わってくる。
この冒険で、呪いは解けたようだ。
きっと、この冒険が終わって日常生活に戻ったら、またそれはそれで大変なことが起きるのかもしれない。
乗り越えてきた経験がきっと私を強くさせてくれた。
そう思った。