カレンを解放する代わりに多額の金額を要求してきたのは、ライトという蘭の主治医と、ライトの協力者として選ばれし者の一人であるサクラの2人だという。
 2人が共謀して、蘭の奥さんを誘拐するなんて、この上なくワクワクする事件だとローズは思った。
 だが、蘭は話を聞いて顔面蒼白になり一言も言葉を発しない。
 そうか、蘭は戦闘能力はほぼ皆無だったとローズは思い出した。

 先程から棒立ちで微動だにしない蘭を見ていて、ローズは大丈夫かと心配になってきた。
「とりあえず、家に戻ったらどうだ?」
 ローズの一言に蘭は「あっ」と意識を取り戻したかのように慌てて動き出した。
「まずは、サクラという女の部屋を調べてみろ。それから住人たちに話を聞け。こっちは、ライトっていう男について調べておくから。いいか、落ち着いて行動しろよ」
「…おう」
 蘭が部屋を出た後、ローズは臣下を呼んでライトの居場所を突き止めるように言った。
 身代金と人質を交換する場所は、今は使われていない病院となっているが、果たしてそこにいるかどうか…。
 そもそも、ローズはライトについて違和感を感じていた。