一年前、私は両親に言われて遠縁である蘭と結婚した。
 だが、結婚したとはいえ、蘭は私に指一本触れないと約束してきた。
 私は、てっきりこの見た目だから恋愛対象ですらならないのだろうと解釈していた。
 醜いこの顔を見たところで、愛情なんて浮かぶわけないからって。

 ところが、そうじゃなかった。
 蘭は呪いをかけられたそうだ。
 女性に指一本でも触れたら、体調不良を起こして、時には失神するという呪いだ。
 実際、私に触れた蘭は体調不良に見舞われるというのを目の前で見てしまった。

 呪いは実在するのだ。
 蘭だけじゃない、この屋敷に住むメンバーは全員そうだっていう。

 車でここまで連れてきてくれたクリスさんは、生まれてきた時は女の身体。
 でも、幼少期に男の身体へと呪いをかけられた。
 クリスさんの場合は、夜になると勝手に元の女性の身体に戻ってしまうそうだ。

 クリスさんと逆で、サクラは、生まれた時は男の身体。
 幼少期に女の身体へと変身した。
 サクラの場合は自分の意志とは関係なしに男に戻ったり女の身体になってしまうという。

 クリスさんとサクラの場合は、
 呪いというより魔法という言葉がふさわしいのかもしれない。
 何故なら、それは2人が自ら望んだことだからだそうだ。

 次に渚くん。
 見た目は11~12歳くらいの少年だけど。
 実は私と同い年の17歳。
 見た目が12歳のまま成長が止まってしまうという呪いをかけられたそうだ。

 最後にシュロさん。
 シュロさんは16歳のときに呪いをかけられて。
 一日経ったら、記憶がリセットされるという呪いをかけられた。
 16歳までの記憶は残っているので私以外のメンバーは覚えているそうだけれど。
 私のことだけ覚えられない。
 毎日会うたびに初対面状態で、自己紹介しなければならない。


 以上、6人が今回旅をするメンバーとなる。