「なっ。俺が語ることはそんなにないだろ」
 随分と、話を端折(はしょ)って語られたので。
 私は「え、終わり!?」と蘭に向かって突っ込んでしまった。
 皆、沢山語ってくれたというのに。
 サクラと、蘭は極端に話の内容がオカシイ。
「あんまり長く語っても仕方ないだろ。もう、寝ろ」
 蘭に言われたけど、私は納得が出来ず、じっと蘭を見つめる。
 蘭は、言葉を選んでゆっくりと話しているようだった。
 結局、蘭はすべてをさらけだして語る気はないのかもしれない。
「一つだけ、質問していい?」
「何だよ」
「何で、このメンバーが呪いにかかったのかな?」
「…俺が知っているとでも?」
 はっと鼻で蘭が笑ったので、それ以上は聞けずじまいだった。

 この冒険の結末がどうなってしまうのだろうかと、考えてしまう。
 テントへ行って横になる。
 どうして、彼らが呪いにかかって。
 どうして、騎士団学校へ通って。
 今、冒険をしているんだろう。

 モヤモヤしながら寝返りをうつと。
 隣に寝ているのがサクラではなく、クリスさんだったので。
「ぎゃー」と心の中で叫んだ。
 長い髪の毛を乱したクリスさんの顔を見て、再び寝返りを打つ。
 じっくりと見たら、クリスさんには悪い。
 ああ、心臓に悪い・・・