暫くしてから、テントを出ると。
 全員が火を囲ってワイワイ騒いでいる。
 頭にタオルを巻いたシュロさんを見つけてすぐに駆け寄る。
「シュロさん、具合のほうは大丈夫ですか?」
 シュロさんは私の顔をチラッと見たかと思うと、「うわぁぁぁ」と叫んだ。
「すんません、すんません。本当にすんません」
 何に対して謝っているのだろうか?
 また、渚くんが変なことを言ってシュロさんを困らせているのだろうか。

 シュロさんを見ていた渚くんとサクラが大笑いしている。
「シュロ、いい加減にしないと蘭に殺されるわよ」
「すんませんって。本当にすんません。許されないことだってわかってます」
「…何が?」
 話についていけず、だんだんイライラとしてくる。
 渚くんは「おもしろーい」とずっと笑っている。
「シュロ。もう謝らなくていいから。大人しくしてろ」
 蘭が言っても、シュロさんはまた「すんません」と謝ってくる。

 自分だけ首を傾げていると。
 渚くんが隣にやってきて、
「シュロは免疫がないから許してあげて」
 と言ってきたので、「何を?」と質問する。
 渚くんが何か言おうとすると、蘭が「渚っ!」と言って制した。
「カレンに食事の用意をしろ」
 蘭が渚くんを睨みつけるので「はーい」と渚くんは返事をする。
 サクラはゲラゲラ笑っているし、クリスさんは私と目を合わせないようにしているし。
 さっきから、シュロさんは挙動不審だし何なのだろう。
「ねえ、蘭。隠してることあるならちゃんと言ってよ」
 渚くんからスープの入った皿を受け取ると、蘭の隣に座った。
「知らないほうがいい」
「気になるんだけど」
 思わず大声を出すと、皆が一斉にこっちを向いた。
 蘭は、はぁぁとため息をつくと耳元で「後でな」と言った。