傷ついたから、一人森で暮らせ。
 あまりにも無謀で荒療治すぎないかとマリアは考えている。
 兄弟の中でも面倒見の良いマリアは、サクラを見ていて心配になってくる。
 湧き水ばかり飲んで、食べ物を探そうとしない。
 岩の上に座って、ぼおーとしているサクラは本当に大丈夫なのだろうか。

 毎日、何をするわけでもない。
 変化の訪れないサクラを見ながら。
 じぃーと見守るだけの仕事。

 それが一週間、経った頃。
 サクラが立ち上がった瞬間、ふらっと倒れたので、「ぎゃー」とマリアは思わず悲鳴を上げた。
 ジョイとマリアはサクラに近寄って、声をかけるが返事はない。
「この子、飯食べなさすぎでしょ」
 ジョイがサクラを持ち上げて、運ぶ。

 2人は、森の中に建てた小屋へサクラを連れて行った。
 サクラを寝かせた後、ジョイは食事の支度をする。
 目を覚ましたサクラに、ジョイは黙ってスープの入った皿を渡した。
「ちゃんと食べて笑ってれば、何とかなるよ」
 サクラは何も言わない。
「しょうがねえな。食べさせてやるよ」
 と照れたようにジョイがスプーンを使って、サクラの口にスープを運ぶ。
 サクラは黙ってスープを口に入れると「まずい」と言った。