何か欲しいものがあったら、何でも言ってください。
目つきの悪いヒサメとは違って、やさしい口調でヒョウは言う。
物欲まみれだったはずのサクラの脳には、ちっとも欲しいものが浮かんでこなかった。
騎士団としての生活から離れたはずなのに。
何もやる気が出ない。
そのうち、サクラは幻覚を見るようになった。
「あ、落ちた?」
長い睫毛をピクピクさせながら、ヒサメが言った。
サクラの面倒を見るように言われていたのに、仕事が忙しく。
3日ぶりに家に帰ってきたと同時に真っ先に言われたのが、
「サクラが2階から落ちた」
という衝撃的な一言だった。
ヒサメはため息をついて、すぐさまサクラの部屋を覗きに行く。
医者がサクラを診察している。
「自分で飛び降りたのか?」
後からやって来たヒョウに尋ねる。
「いや・・・。幻覚を見たらしい。僕も自分の目で見たわけじゃないんだけど。サクラが『近寄らないで』って叫びながら窓から落ちたって」
「本当に誰もいなかったのか?」
「お手伝いの子が昼食を持ってきた際、部屋で悲鳴が聞こえたから思わず中に入ったら、サクラが一人で勝手に叫んでたって」
「・・・マジか」
やがて診察を終えた医者がヒサメ達の元へやって来た。
「今は薬で眠っています。サクラ様は、何か怖い経験をしたことで幻覚や幻聴に悩まれされているかと…」
「・・・そうか」
ヒサメは頭を抑え込む。
もっと早い段階で、サクラを救うことは出来なかったのだろうかと考えてしまう。
手伝いの者にサクラを見張らせて。
ヒサメとヒョウは一階に降りた。
「呪いは、本人の心を酷く蝕んでいるのかもしれないね」
ヒサメが言うと。
ヒョウは静かに頷いた。
「選ばれし者は、その時が来るまでは絶対に死なないし、死ねない運命だ。でも…サクラは壊れてしまう」
「あいつを救う方法なんざ、一つしかないだろう」
ヒサメはヒョウを見る。
「一つしかない」
目つきの悪いヒサメとは違って、やさしい口調でヒョウは言う。
物欲まみれだったはずのサクラの脳には、ちっとも欲しいものが浮かんでこなかった。
騎士団としての生活から離れたはずなのに。
何もやる気が出ない。
そのうち、サクラは幻覚を見るようになった。
「あ、落ちた?」
長い睫毛をピクピクさせながら、ヒサメが言った。
サクラの面倒を見るように言われていたのに、仕事が忙しく。
3日ぶりに家に帰ってきたと同時に真っ先に言われたのが、
「サクラが2階から落ちた」
という衝撃的な一言だった。
ヒサメはため息をついて、すぐさまサクラの部屋を覗きに行く。
医者がサクラを診察している。
「自分で飛び降りたのか?」
後からやって来たヒョウに尋ねる。
「いや・・・。幻覚を見たらしい。僕も自分の目で見たわけじゃないんだけど。サクラが『近寄らないで』って叫びながら窓から落ちたって」
「本当に誰もいなかったのか?」
「お手伝いの子が昼食を持ってきた際、部屋で悲鳴が聞こえたから思わず中に入ったら、サクラが一人で勝手に叫んでたって」
「・・・マジか」
やがて診察を終えた医者がヒサメ達の元へやって来た。
「今は薬で眠っています。サクラ様は、何か怖い経験をしたことで幻覚や幻聴に悩まれされているかと…」
「・・・そうか」
ヒサメは頭を抑え込む。
もっと早い段階で、サクラを救うことは出来なかったのだろうかと考えてしまう。
手伝いの者にサクラを見張らせて。
ヒサメとヒョウは一階に降りた。
「呪いは、本人の心を酷く蝕んでいるのかもしれないね」
ヒサメが言うと。
ヒョウは静かに頷いた。
「選ばれし者は、その時が来るまでは絶対に死なないし、死ねない運命だ。でも…サクラは壊れてしまう」
「あいつを救う方法なんざ、一つしかないだろう」
ヒサメはヒョウを見る。
「一つしかない」