サクラの精神が崩壊にまで追い込まれたのは。
 あの事件が起きたことがキッカケだった。

 サクラは女の姿でいるときは、なるべく家に籠っていたが。
 洗濯物を干す際などは、外に出てしまっていた。
 制服ではなく、ゆったりとした白い服を着てエプロンを身に着けて鼻歌を歌いながら洗濯物を干している。

 その姿を目撃した者が「校内に女がいる」と言い出したのだ。
 噂は瞬く間に流れ、ついにサクラは女ではないかという噂に変わった。
 サクラが女であるかどうか突き止めてやると言い出したのは、同級生の貴族4人だった。
 クラスは違ったが、元から色々と問題児として扱われている4人が、
 授業をさぼって学校中を探し回りついにサクラの姿を見つけ出した。

 噂を聞いて、ずっと授業には出られなかったサクラだったが。
 洗濯物を干すぐらいならば大丈夫だろうと思っていた。
 それが、間違いだった。
 見覚えのある同級生4人が近寄って来た時にサクラはパニックになって。
 家に入らずに森の方へ駆け出してしまった。

 ちょうど、女の姿になっていた。
 何故、あの時家に逃げ込まなかったのか。
 どうして、こんなに自分は馬鹿で無力なのかとサクラは思う。
 走って逃げたが、同級生に体当たりされてその場に倒れた。
「おめえが女かどうかちゃんとこの目で確かめてやるよ」
 一人に取り押さえられて、もう一人に服を破かれた時、
 大声で悲鳴をあげた。

「イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 恐怖のあまり、目を閉じた。