青年騎士団学校では、少年騎士団のときよりかは、はるかに過ごしやすかったが。
 クラスで浮いてしまうのは続いた。
 毎日、自分が望んでいるわけでもないのに騎士団になるべく勉学に励むことは苦痛に他ならない。
 担任はサクラの身体の秘密を知っているので「退学にしてくれ」と言ったが、「選ばれし者だから駄目だ」と言ってきた。
 選べれし者…という言葉を聞いた時、全く意味がわからなかった。

 選ばれし者の意味を知ったのは、
 2年生の終わる頃だった。
 ルームメイトの蘭と、同級生のローズが兄弟というのを聞かされた。
 あまりにも、衝撃的だった。

 7歳のときに魔法を受けて、ずっと願っていた女の子の身体を手に入れたのに。
 この先の将来はすべて決められてしまったようなものだった。

 それでも、独りぼっちではないことがサクラには救いだった。
 自分にはクリスがいるのだから。
 悩むことはあったけど、いつでもクリスが(そば)にいて励ましてくれた。