5分ほど歩くと視界が開けて、広場のようなところに出た。
 どうしてここら辺に木々はないのだろうと思っていると。
 目の前に池が現れた。
「大きな池」
 と言うと、蘭が「ちがう」と否定する。

 池は乳白色に濁っており、湯気が出ている。
 異臭の正体はこの池だったのか!?
 顔をしかめる。
「まさか、温泉?」
 隣に立っていたサクラが悲鳴をあげるように言った。
「そうだ」
 と得意気に蘭が言った。
「ほんと!? あたし、一度入ってみたかったのよ」
 と、ぴょんと飛び跳ねて喜ぶサクラに首を傾げる。
 この臭い池がなんだっていうのだろう。
「あー、もうずっとお風呂入れなかったから嬉しい」
 と、サクラが感動の声を漏らしている。
 だから何だっていうのだろうとサクラを見る。
「さっ、入りましょ。私とカレンは向こう側で入るから」
「入るって?」
 再び首を傾げる。
 サクラは、こっちを見てニヤリと笑う。
「温泉に入るのよ!」