シュロは青年騎士団学校での生活が慣れてくると。
自主的にトレーニングを始めるようになった。
校内は広く、シュロたちが暮らす家の裏には森があるので、そこへ入って。
木刀を持って素振りをしたりランニングなどをして身体を鍛え始めた。
授業には出ていないので、よくわからないのだが、
少年騎士団学校の頃のように、試験があるのかもしれない。
それに合格出来なければ、また実家に帰りなさいと言われるに違いない。
筆記試験は絶望的だろうが、せめて武術や剣術の試験だけは受かりたいと思ったからだ。
その日は、いつものように食堂での仕事を終えて一旦、家に帰って着替えを済ませ、
森の中に入って、木刀を持って素振りをしていた。
鳥のさえずりに、葉っぱのサラサラとなびく音。
いつもと同じ音だったはずだが、その音に混じって「う…う…」という男のうめき声が聞こえた。
シュロはあたりを見回して、わずかな声のするほうに駆け寄った。
木にもたれて、一人の少年が座り込んでいる。
おや? とシュロが思ったのはその少年がベースボールキャップを被り、黒いサングラスをしていたからだ。
「大丈夫ですか?」
近寄って見ると、少年は腕をつかんで「うー」とうめいている。
つかんだ指の隙間から血が滲んでいるのがわかる。
「怪我してるじゃないっすか。どうしよ…うち近いんでついて来てください」
「…あ…ほ」
言葉切れ切れに少年が言う。
ぜーぜーと呼吸を乱す少年が動く気配はない。
「出血が多いと危険ですから、手当しないと」
「…そんなの・・・わかってる」
少年が立ち上がったかと思うと、びゅんっと強風が吹いて目の前が見えなくなる。
目に砂が入ったのか、シュロは「いってぇ」と目をこする。
「え…」
再び見た時には、
目の前に座っていたはずの少年の姿がなかったのだ。
自主的にトレーニングを始めるようになった。
校内は広く、シュロたちが暮らす家の裏には森があるので、そこへ入って。
木刀を持って素振りをしたりランニングなどをして身体を鍛え始めた。
授業には出ていないので、よくわからないのだが、
少年騎士団学校の頃のように、試験があるのかもしれない。
それに合格出来なければ、また実家に帰りなさいと言われるに違いない。
筆記試験は絶望的だろうが、せめて武術や剣術の試験だけは受かりたいと思ったからだ。
その日は、いつものように食堂での仕事を終えて一旦、家に帰って着替えを済ませ、
森の中に入って、木刀を持って素振りをしていた。
鳥のさえずりに、葉っぱのサラサラとなびく音。
いつもと同じ音だったはずだが、その音に混じって「う…う…」という男のうめき声が聞こえた。
シュロはあたりを見回して、わずかな声のするほうに駆け寄った。
木にもたれて、一人の少年が座り込んでいる。
おや? とシュロが思ったのはその少年がベースボールキャップを被り、黒いサングラスをしていたからだ。
「大丈夫ですか?」
近寄って見ると、少年は腕をつかんで「うー」とうめいている。
つかんだ指の隙間から血が滲んでいるのがわかる。
「怪我してるじゃないっすか。どうしよ…うち近いんでついて来てください」
「…あ…ほ」
言葉切れ切れに少年が言う。
ぜーぜーと呼吸を乱す少年が動く気配はない。
「出血が多いと危険ですから、手当しないと」
「…そんなの・・・わかってる」
少年が立ち上がったかと思うと、びゅんっと強風が吹いて目の前が見えなくなる。
目に砂が入ったのか、シュロは「いってぇ」と目をこする。
「え…」
再び見た時には、
目の前に座っていたはずの少年の姿がなかったのだ。