Your PrincessⅡ

　サクラは髪の毛が長くなったり、ショートヘアになることがあった。
「人より髪の毛が伸びるのが異常に早いんだ」
　と説明されたので、そんなものなのかと軽く考えていた。
　クリスは夜になると髪の毛をスカーフでグルグルと巻いて過ごしていた。
「出来るだけ夜は俺に近づかないほうがいい」
　とシュロには言うくせに、サクラはベタベタとクリスの身体に触っているので、意味がわからなかった。

　サクラとクリスの声がおかしくなり始めたのに気づいたのも、その頃だった。
　声変わりの時期だったのかもしれないが、サクラの声が時折、男っぽい声になることがあった。逆に、クリスの声が女の子のように高い時があった。

　鈍感だったシュロだったが、２人には何か事情があるのかな程度にしか考えていなかった。
　だから、目の前でサクラの身体がピカッと光って髪の毛が短くなった瞬間。「あれ？」ぐらいにしか思わなかった。
　３人で朝食を食べていたときだった。
　いつもならばシュロが一番に早起きをして、朝食の準備をして学校の食堂へ行くのだが、
　今日は料理長から早く来なくていいと言われたので、ゆっくりと朝食を食べていた。
　ボソボソのパンを食べていると、目の前に座っていたサクラの身体がピカッと光ったので。てっきり、サクラに雷が落ちたのかと思ったのだ。
「大丈夫か、サクラ？」
　シュロが立ち上がってサクラの側に寄るとサクラはブルブルと震えだした。
「最悪だよ」
「病院行くか？」
　心配そうに言うシュロに、サクラは立ち上がって思いっきり、シュロに頭突きをした。
「ばあか！」
　サクラは泣きそうな顔で２階へ行ってしまった。

「やっぱり、隠し通すなんて無理なんだよ」
　ため息をついてクリスが言う。
「どういうことだ？」
「シュロくん、学校が終わったらちゃんと話すから。サクラは乙女だから…そっとしておいて」
「よくわからんけど、わかった！」