クリスとサクラの３人で暮らすようになってから、
　一気に家が賑やかになった。
　サクラは我儘なお姫様体質で、シュロとクリスはサクラに振り回されるような毎日だった。夜になるとシャワーは誰構わず一番に浴びたいと言い出すし、家事も手伝わない。
　クリスはシュロにこっそりと「ごめんね、サクラは貴族だから」と説明した。
　だが、シュロは「女なんてそんなもんだろう」と思い込んでいたので、あまり気にすることがなかった。完全に叔母の存在が大きかったのかもしれない。
　女性は我儘で俺のことを受け入れることなんてない。そういう者なのだと思った。

　クリスとサクラは一緒に暮らすようになった時点で、２人とも仲良しだったので「２人はどういう関係なんだ？」と率直に質問すると。
　クリスとサクラは顔を見合わせて「秘密」と言ってきた。
　何だか仲間外れにされたようでモヤモヤとはしたが、シュロにとって年の近い女の子と暮らすというのはこんなに気分が良いものだというのを初めて知った。
　サクラがシャワーを浴びて出てきたときは、こんなに色気のある子だったのかと鼻血が出た。
　濡れた髪の毛からぽたぽたと水が落ちて、ほてった顔にダボダボのTシャツと短パン姿…
　シュロを見てサクラは「変態」と言いながら、急に抱き着いてきたので「意味わかんねえ！」と大声で怒鳴った。

　ただ、後になって知ったのはサクラにからかわれていたということだ。
　クリスとサクラの秘密を知ったのは一緒に暮らし始めて一ヵ月後だった。