シュロは、どんなに叔母に怒られても。
 絶対に言うことを聞かなかった。
 一度、言われた通り。畑仕事を手伝ったが、
 手伝ったら手伝ったで、「のろま」と怒られてしまったからだ。
 何をやっても、叔母は気にくわないのだということをシュロは知っていた。
 だから、弟や妹の面倒だって見ないし、畑仕事だって手伝わない。
 家にいても怒鳴られるだけなので、外で一人遊んで過ごした。

 兄のドニーはいつも弟を心配していた。
 ギルバードを可哀想だと思いながらも、自分ではどうすることも出来なかった。
 一度、父親に相談したが、父親は何も言わなかった。
 毎日、叔母はシュロに対して怒鳴っているように見えた。
 見ているほうが、気の毒に思えるほどだ。


 そんな日々の中。
 急に叔母がシュロに対して優しくなった。
 怒鳴らなくなったのだ。
「子供の頃っていうのは、やっぱり遊ぶことも大事よね」
 だなんて、鼻歌を歌いながら言い出すので。
 ドニーは恐怖を覚えた。
 これは、絶対に何かあるに違いない。
 その晩、叔母が帰った後。
 ドニーは父に、叔母に何があったのかを聞き出した。