少年騎士団を卒業した後は、国営の青年騎士団へと入団した。
 青年騎士団でも、一軒家を与えられた。
 家には既に、シュロが住んでいた。
 シュロはサクラを見て女の子だと思い込んで驚いていた。
 サクラは、シュロに向かって、
「事情があって、本当は女なんだけど男のフリをして学校に通ってるの。お願い、このことは誰にも言わないで」
 と潤んだ目で言うものだからシュロはすっかりと信じきってしまった。
 それから、シュロは一ヵ月ほどサクラのことを女の子だと勘違いしていたらしい。

 シュロに魔法のことを知られても、これといってシュロは何も言ってこなかった。一緒に住んでいるうちに、シュロがどん臭い人間だというのはすぐに理解した。
 そもそも、常識がずれていて、何でもすぐに信じてしまう。
 そんなシュロのことがだんだん心配になってくるクリスであった。

 青年騎士団の2年生になると、海の一族である男の子がやってきた。
 サクラはその男の子に「渚」という呼び名を付けて、弟のように可愛がった。
 渚は本当に弟みたいに可愛かった。
 だが、最初の頃は毎晩うなされているようだった。
 怖い思いをしたのだろうとサクラは言う。

 それから、渚がやって来てから蘭という男の子もやって来た。
 スペンサー家の息子だという。
 口の悪い男で、一人で居るのが好きなような奴だった。
 だが、蘭の護衛であるアズマという人は凄く気さくな人間だった。
 サクラはアズマのことを気に入っていたと思う。

 このメンバーで過ごしている中で。
 一度だけ衝突したことがあった。