少年騎士団としての3年間は本当にキツい3年間だったとクリスは振り返る。
 まず、休みが一日も与えられない。
 毎日、勉強して剣術と武術の練習ばかり。
 だが、クリスはサクラと一緒の寝室を与えられ、まだ幸せなほうだなと思った。
 クラスメイトの話を聞いていると、無理矢理連れて来られた人間がいることに驚いた。
 サクラだけではなかったのだ。
 ある生徒は親に邪魔者扱いされ、ある生徒は生活が苦しくて売られたという。

 クラスメイトの中には、何故。クリスとサクラだけ同じ宿舎じゃないのかと文句を言う者がいた。
 無理にクリスにくっついて家まで付いてくる者がいたが、老婆が飼っているというライオンがクラスメイトを追っかけまわして、クラスメイトの腕に噛み付いた。
「あの家に近づいたものは魔物に噛み殺されるから注意しろ」
 という担任の言葉にクラスメイト達は脅えて、二度とクリスたちの住む家には近寄らなくなった。
 と、同時にクリスともあまり関わらなくなった。

 クリスはまだ授業についていけたが、サクラは身体の急激な変化のせいで。
 授業に出たり、出れなかったりの繰り返しだった。
 女の姿になることは絶対にバレてはいけない。
 いつ変身するのかがわからないので、サクラは常に帽子を被って、変身した際はすぐに長い髪の毛を帽子で隠せるようにしていた。

 クリスもサクラも、クラスで浮いているのだけはわかった。
 クリスはあまり仲良くなってしまったら、いつかはバレてしまうから調度良いと思っていたが、サクラは次第に思いつめるようになった。
 もともと、サクラは自分から望んで此処へ来たわけではない。
「身体が不完全なんだから、辞めさせてくださいって先生に何度も頼んだ。なのに、先生は無視する」
 と言ってサクラは泣き叫んだ。
 サクラが泣くたびに、クリスはサクラの頭をなでるくらいしか出来なかった。