上を見上げると、そこにはあのドラゴンが

『!? お前…っ!今更来たのかっ!?』

お前の所為で…っ!

『お前の所為で…っ、お前の所為で僕はこんな目にっ!!!』
〔我は何もしておらぬ、全ては貴様が無知なのが故よ〕
『何…だと…っ!?』
〔悪しき気配を感じて来たが、貴様…、呪術を使うたな〕
『そうだ!お前に…っ、苦痛を味わわせる為にっ!!』
〔…貴様はその為だけに、この国の者を贄にしたのか…〕
『そうすれば!お前は強制的にここに召喚される筈だったんだ!
 お前が永遠に苦しむ筈だったんだぁっ!!!』
〔我が、強制的に…か。…小僧、無知なのも大概にしておけ〕
『あ!?』
〔人間ごときが使う呪術が我に通用すると、本気で考えたのか〕
『…っ!あの本は、一国の王が危険だと判断した闇市場で手に入れたモノだぞ!?』
〔どこでどんなモノを手に入れようが、所詮人間の呪術だ〕
『…っ!?許さないっ…!お前だけはっ!!絶対に許さないっ!!!』
〔貴様が呪い返しを受けたのは、自分で引き起こした事だ
 生きてゆける程度には強制的に回復し、その際に激痛が伴う様だな
 …不死の身で朽ちてゆく呪い
 どれ程の苦痛を味わおうとも、死にたくとも死ねない…最悪の組み合わせの呪いだ〕
『…っ…!』
〔貴様は、己の都合で多くの罪の無い同族を殺めた
 その中には、親兄弟も…
 その呪いは己の業だ、己が犯した罪を未来永劫背負い続けるのだ〕

ドラゴンは翼を羽ばたかせる

『! どこへ…っ!?』
〔我がどこへ行こうと、貴様には関係無かろう〕

ドラゴンが飛び立っていこうとする瞬間