全体的に和風なつくりの家の中に土足で上がり込む橋場。

 あたしは一瞬ためらったけれど、このほこりの上を靴を脱いで上がりたくない。

 大体靴も上履きのままなんだ。
 このままでいいよねってことにした。

 そのまま進んだ橋場は、手前の広めの部屋を指し黒髪たちに指示を出す。

「お前らはここに居ろ。俺はとりあえず奥で一発ヤッてくるからよぉ」

 その言葉にあたしは色んな意味で顔が引きつった。


 嘘でしょう⁉
 そりゃああまり期待はしてなかったけど、こんなほこりまみれの場所でそういう事するの⁉

 場所以前にしたくないんだけれど、尚更嫌になる。


「ちょっ、待って。本当にここでするの? せめて違う場所にしない?」

「ああ?」

 したくないし場所も嫌だし、時間稼ぎにもなりそうだしと思って提案する。

「あ、あたし初めてだし……こんなほこりまみれで汚い場所なんて嫌なんだけど。せめてもうちょっと綺麗なところに移動しない?」

 でも、当然ながら橋場は気にしていないみたいだった。

「初めてとか関係あるかよ。どうせ気にならなくなるんだ、移動する必要ねぇよ」

 いや、気にすると思う!

 内心の突っ込みは言葉には出来なかった。

 なぜなら、あたしが口を開く前に黒髪の男が「橋場さんの言う通りだよ」と言って遥華を茶髪の方に押し付けたから。

 そして香梨奈さんの腕を掴み、ほこりまみれの床に押し倒したから。