『……お前ら、その子たちに何するつもりだ?』

 慎重に紡がれる言葉に、こっちの状況を理解しているのだと思う。

 やっぱり暴走族の副総長をしているだけあって、この手の緊迫した状況を読み取るのが上手いのかもしれない。


「“その子たち”、なぁ……。ま、美来以外はそのうち解放してやるよ」

『は? 美来ちゃんは――』

 連さんがまだ何かを言おうとしていたけれど、茶髪男は構わず通話を切った。

「この様子だと身内っぽいな」

 そしてそのままスマホの電源を落とす。


「もしかしたらGPSとか使って来るかもしれねぇからな。没収して電源落とさせてもらうぜ?」

 ほら、あんたらも。と言ってあたしとしのぶのスマホも没収されてしまった。


 でも、大丈夫。
 もう一つの方は気付かれていないから。

「うわっマジかー。GPS使えなくなるのは痛いわね……」

 仮面を取って髪を結い直している遥華が苦々し気に言う。

 でもこの状況で髪を結い直すとか結構余裕そうに見えた。

 って言うか。


「遥華……なんか慣れてる?」

 こっそり連さんに電話していたこともそうだし、それ以前にあたしたちが危ない状況になっているとどうして気付いたんだろう?