橋場を睨みつつ、心の中には不安が宿る。

 しのぶは流石に地元まで連れて行かれたりしないだろうけど……それでも無事に済むとは思えない。

 このままじゃあ絶対ダメだと分かっているのに、どうすることも出来なくて……。


 奏、ごめん。

 あたしのために色々頑張ってくれていたのに結局橋場に捕まっちゃって。

 しかも、奏の好きな子を巻き込んじゃった。

 申し訳なさ過ぎる。


 ……それに、幹人くん。

 このままだと、大好きな彼氏にもう二度と会えなくなってしまう。

 そればかりか、また好きな人以外の男に唇を奪われてしまう。

 多分、それ以上のことも……。


 ゾッとした。

 それだけは、本当に嫌。


 ……幹人くん……助けて……。

 あまり人に助けを求めることのないあたしだけれど、今回ばかりは自力ではどうしようもなさそうで……。

 あたしを守ってくれる、大事な彼氏に思いを馳せる。

 助けて欲しいという思いが届くように、強く彼を思った。


「行くぞ」

 シーツを被りなおした三人に連れて行かれる。


 幹人くん!


 強く大好きな人を思いながら、あたしは仕方なく橋場の後を付いて行った。