そんなあたしのブルーグレーの瞳を覗き込んだ橋場は、満足そうに笑い持っていた眼鏡をパッと離した。

 カシャン、と音を立てて床に落ちるあたしの眼鏡。

 それを橋場は思い切り踏みつける。


「なっ⁉ ちょっと!」

 フレームがぐしゃりと曲がりレンズも割れてしまった眼鏡。

 抗議の声を上げたけれど、続きを口にするより先に顎を強く掴まれた。


「何だよ、別にもういらねぇだろう? お前はこのまま俺のものになるんだ。俺のものになって、他の男をたぶらかさねぇように閉じ込めてやる」

「な、ん……?」

 閉じ込めるって……。

「お前が俺のところまで堕ちてくるのを待ってたんだけどなぁ……。こんな風に逃げられるなら籠の鳥にして飼ってやるよ」

「飼う、って……」

 こいつは、あたしを何だと思ってるんだろうか。

 飼うなんて、もう人として見ていないんじゃないの?


 怖さも怒りも通り越して、ただただ不快だった。


「ま、とにかくここを離れねぇとな。邪魔が入ったらせっかくのチャンスが水の泡ってやつだ」

 粘着質にあたしの顔を見ていた橋場だったけれど、そういうところは理性が働くのか一度あたしを離す。