「素敵ね!」
「可愛らしいわ」

 そんな普通の反応を示してくれる人達もいたけれど、中には――。

「本当に天使の様だ。天使と言えば金髪となるところだが、黒髪というのもこれはこれで白い衣装にマッチしていてイイ……」

 と、何やら語り出した男の先輩もいた。


「思った通り、君に似合っているね」

 王子スマイルで近付いてきた白いスーツ姿の坂本先輩は、まじまじとあたしの姿を見てから軽く眉を寄せる。

「うーん……君の対になるように僕は悪魔系にしておけばよかったかな? でも生徒会長としてのイメージもあるし……」

 などと話し出したことは正直あたしにはどうでも良いことだったのでその後はスルーした。


 とりあえず似合わないという意見はなさそうだったので一安心だ。

 あと、当日は何事もなく終われるようにやっぱり眼鏡もかけておこうと思う。

 一部の異常行動を起こしている人達を見て、主にファンクラブの人達の反応が怖いなと思ったから。


 そんなちょっとの不安を抱きつつ、あたしは幹人くんはどんな衣装なのかな? と思いを()せた。

***

 あたしたちが衣装合わせをした日は、《月帝》と《星劉》も衣装合わせの日だったらしい。

 生徒会の天使と悪魔に被らないようにすると言っていたけれど、二つのチームは結局何にしたんだろうと思っていた。


 《月帝》の方は、吸血鬼と狼男だってその日のうちに少しだけ会えた幹人くんに聞いた。