……いや、もしかしてストーカーに関してもあいつが一枚噛んでいた?

 その可能性はある。

 だって、奏の元カノはストーカーに頼まれたっていう不良に襲われそうになったことがあったもの。

 橋場との関係性はないと思っていたけれど、どこかに繋がりがあったのかもしれない。


 そして、奏はそれに気付いたから転校するのにあたしを付き合わせて、地味な格好も強要したんだ。

 奏のストーカーの目から逃れる様“念のため”というのも確かにあったんだろう。

 でもきっと、一番の理由は橋場からあたしを“守るため”だ。


 それらのことが分かってしまったから、あたしも地味な格好は出来る限りしておこうと決めた。

 だから、残念そうにするすみれ先輩にも応えることは出来ない。

 でも、嬉しそうだった表情が曇るのを見て申し訳ないなとも思ったから……。


「じゃあせめて眼鏡だけでも取らない? 今だけで良いから」

 というすみれ先輩の提案には「分かりました」と返事をした。

 今だけ。
 生徒会役員の前だけならいいよね?

 髪は解かないし、眼鏡だけなら。


 というわけで、眼鏡だけを取った状態で会議室の方へ戻る。