すみれ先輩は悪魔系らしく、全身黒一色だった。
 体に沿うピッタリしたドレスの上から、ゆったりとした丈の長めなボレロを着ている。

 色気も出ているけれど、ボレロでほど良く隠されている感じだ。

 正直悪魔というより魔女に近い感じがするけれど、これはこれですみれ先輩に似合っている。


 普段とはまた違う魅力があって、ちょっとドキドキしちゃうよ。


「その衣装見たときから絶対美来さんに似合うと思っていたのよ。早く着てみてちょうだい」

 ワクワクとした様子を隠しもせず、すみれ先輩は手伝おうとしてくれる。

「あ、自分で着替えるので大丈夫ですよ?」

「いいから手伝わせてちょうだい。それにこの背中のファスナーは一人で着るにはちょっと苦労するわよ?」

 言われて初めて衣装の背中部分もちゃんと見た。

 確かに一苦労しそうなファスナーだ。
 手は届かなくもないから一人でも出来そうな気はするけれど、手伝ってもらえた方が引っかかったりせずに済みそうだと思った。


 レンタルらしいし、引っかけて破けちゃったら良くないだろうしね。

 そう判断したので、有難く手伝ってもらうことにした。

「さ、どうかしら? 苦しいところとかはない?」

「はい、丁度良いです」

 切り返しが胸の少し下辺りなのでウエストがキツイという事もないし、胸は丁度いいくらいだ。

 袖も少し余裕があって動かしづらいという事もない。