「熱があって朦朧としてたんだから仕方ないよ。あたしは気にしてないから、高志くんも気にしないで?」

「あ……ああ……でも、その……そこまで気にされないのも何だか……」

 申し訳ないって思っているみたいだったから気にしてないよと伝えたのに、高志くんはそれでも何かぶつぶつ言っている。

 本当にどうしたんだろうと不思議に思うけれど、いつまでもここで話しているわけにもいかない。


「ごめんね、そろそろいいかな? 着替えて来ないと」

「あ、ああ。すまない、引き留めてしまって」

「ううん、大丈夫。……あ、そうだ」

 断りを入れて今度こそ会議室を出ようとして一つ言い忘れていたことに気付いた。

「ん?」

 聞き返す高志くんを改めて見て、笑顔を見せる。

「……うん、イメージちょっと変わるけれど、やっぱりその格好も似合ってるよ」

「っ⁉」

「じゃ、あたしも着替えてくるね」

 そうしてすぐに生徒会室に向かったあたしは、この後高志くんが顔を真っ赤にして倒れたという事を後になってから聞いたのだった。

***

 念のためノックをして、「どうぞ」と声がしてからドアを開ける。

「あ、美来さんも来たのね?」

 中には丁度今着替え終えたらしいすみれ先輩がいた。